散っては咲くを繰り返す花達

建物のエントランスに設置された、インスタレーション作品。Sound制作はMIYAVI氏

建物のエントランスの奥に光を反射させないブラックホールの様な空間を制作。虚無をイメージした空間に美しい花が浮かんでいる

華道家に制作してもらった花をスタジオで10日間連続で撮影。8Kで撮影し、表示装置も8Kを等倍で再生できる機材を用意。高解像の写真でもあり動画でもあるビジュアルになった

10日間撮影した1万枚以上の静止画を、プログラムによって制御。プログラムによって、その時間がとても短くなり、咲いて枯れる様子が動画になったり、ほぼ止まってるかのような写真のようなものになったりする。サウンドも10レイヤー以上に分かれていて、プログラムのタイミングですべての音がランダムに変更される。レイヤーごとの音の出力のタイミングはビジュアルの方のタイミングで制御される。

SPEC

写真と動画の境界がなくなりつつある現在。その答えの一つとして作品を制作した。8Kの連番で10日間にわたり撮影されたビジュアルイメージは、コンピューターのプログラムによって全く恣意性はなく、不均一な速度で再生される。そして動画というものは初めから終わりまで、方向性があるものだが、この作品はそれさえも守らず、これもプログラムにより順方向に再生したり、逆方向に再生したり、ずっと止まったままになったりを繰り返していく。音楽もそれに合わせて、順方向に再生したり逆再生をする。そうして繰り返される、生のありようを感じる作品。

空間は99%超の光を吸収する世界にも数社しか作れない特殊塗料を輸入して塗装。塗装にも特殊な技術が必要だった。描画装置も特殊な方法で制作している。空間は建築的に下方向と上方向にも彫り込まれており、下の方向と正面に浮かべている装置の裏側に複数のスピーカーを設置して空間から音がなるようにした。8KのビジュアルイメージはまさにA1レベルの写真の解像感。美しい花のディテールを完全に描画している。